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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻2号

1981年04月発行

文献概要

特集 チャネルの概念と実体 総説

卵細胞膜のイオンチャネル

著者: 宮崎俊一1

所属機関: 1自治医科大学第1生理学教室

ページ範囲:P.101 - P.109

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 極性の強いイオンが脂質二重層から成る細胞膜を輸送される場合には,キャリアーやチャネルといった特異的な膜蛋白を必要とすると考えられる。興奮性膜における膜電位依存性のイオン透過性の増加は,Na+,Ca++,K+をそれぞれ選択的に透過させるフィルターを備えた小孔を持つチャネルが担っているとする考えが支配的である。これらのイオンチャネルは,膜電位を感受して小孔を開閉するゲートを有しており,openかclosedかの2状態をとると想定される。そしてイオン透過性の増加は,openチャネルの数の増加と対応すると考えるわけである。このチャネル仮説は,未だ完全に実証されたわけではないが,少なくともこれまでに得られた実験結果の多くを説明しうる。逆に,研究者がこのようなチャネルを想定した上で実験を進めるために,この仮説を支持する実験結果が蓄積されてきているとも言えよう。特に最近では,細胞膜の極く小さなpatchにおいて,all-or-noneにon-offするunitaryなイオン電流(いわゆるsingle channel current)が記録されるに至っている1〜3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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