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特集 チャネルの概念と実体 総説
カルシウムチャネル
著者: 赤池紀扶1
所属機関: 1熊本大学医学部第2薬理学教室
ページ範囲:P.110 - P.120
文献購入ページに移動 神経線維や骨格筋線維の興奮膜を横切る内向きイオン電流としてナトリウム電流(INa)がよく知られている1,2)。ゾウリムシ3),尾索類卵細胞4),ヤリイカ巨大神経節前神経終末5),カタツムリ神経細胞6〜8),甲殻類筋細胞9,10),脊椎動物脊髄神経細胞11),心筋12,13)や平滑筋14)ではINaにカルシウム電流(ICa)が加わっており,INaとICaの電流比は細胞の種類,細胞間,さらに単一細胞でも記録する細胞膜の位置で異なるし,種属差もみられる。一般にINaで発生する活動電位(Na-spike)の機能的役割は神経線維や筋線維膜を介したメッセージの伝達である。それに対してこのNa-spikeよりも発火閾値が高く伝導速度も遅いICaによる活動電位(Ca-spike)の機能的役割は脱分極による心筋,平滑筋や骨格筋の興奮収縮連関,外分泌腺や節前神経終末の興奮分泌連関,神経細胞の自発性放電や軸索輸送,それにIK-Ca(ICaによって賦活されるカリウム電流)のコントロール,繊毛運動,発光等の細胞内プロセスに関与している15,16)。
1961年,Oikawaら17)とBakerら18)の両グループは独自にヤリイカ巨大神経軸索の人工液による細胞内灌流法を開発し,膜電位固定下に細胞内イオンをコントロールすることにより単純化されたイオン環境での神経細胞膜の物理化学的解析を可能にし,INaとIKに関する優れた情報を提供してきた。
1961年,Oikawaら17)とBakerら18)の両グループは独自にヤリイカ巨大神経軸索の人工液による細胞内灌流法を開発し,膜電位固定下に細胞内イオンをコントロールすることにより単純化されたイオン環境での神経細胞膜の物理化学的解析を可能にし,INaとIKに関する優れた情報を提供してきた。
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