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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻2号

1981年04月発行

文献概要

特集 チャネルの概念と実体 総説

神経興奮におけるチャネル

著者: 松本元1

所属機関: 1電子技術総合研究所

ページ範囲:P.128 - P.138

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 神経興奮に関するHodgkinとHuxleyによる現象論的記述1)の見事さはいまさら改めて述べるまでもない。この記述の重要性はHodgkin-Huxleyの式が神経興奮現象を良く説明するという点にとどまらず,①軸索膜の受容部は電圧感作で,膜には電圧リセプター(これはシナプス後膜のアセチルコリンリセプターに相当する)が存在し,②電圧リセプターからの情報がイオン選択性を有するチャネルの開閉を制御する,という膜興奮のイメージを打ち出した点であろう。
 従って現代の神経興奮の課題はHodgkinとHuxleyが提起した問題に答えることである。すなわち,①イオンの選択透過を行う蛋白質(チャネル蛋白質と呼ぶ)を膜から抽出・精製し,また膜での存在様式を明らかにする,②電圧リセプターの膜での存在部位を明らかにし,この物質を膜から抽出・精製すること,③電圧リセプターとチャネル蛋白の相互作用がどのようにして担われているか明らかにすること,などであろう。そして最後にこれら精製した材料をもとに電気興奮膜を再構成し,その機能が軸索の機能と基本的に一致すれば神経興奮の機能と構造が良く理解されたことになろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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