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特集 チャネルの概念と実体 総説
神経興奮におけるチャネル
著者: 松本元1
所属機関: 1電子技術総合研究所
ページ範囲:P.128 - P.138
文献購入ページに移動 神経興奮に関するHodgkinとHuxleyによる現象論的記述1)の見事さはいまさら改めて述べるまでもない。この記述の重要性はHodgkin-Huxleyの式が神経興奮現象を良く説明するという点にとどまらず,①軸索膜の受容部は電圧感作で,膜には電圧リセプター(これはシナプス後膜のアセチルコリンリセプターに相当する)が存在し,②電圧リセプターからの情報がイオン選択性を有するチャネルの開閉を制御する,という膜興奮のイメージを打ち出した点であろう。
従って現代の神経興奮の課題はHodgkinとHuxleyが提起した問題に答えることである。すなわち,①イオンの選択透過を行う蛋白質(チャネル蛋白質と呼ぶ)を膜から抽出・精製し,また膜での存在様式を明らかにする,②電圧リセプターの膜での存在部位を明らかにし,この物質を膜から抽出・精製すること,③電圧リセプターとチャネル蛋白の相互作用がどのようにして担われているか明らかにすること,などであろう。そして最後にこれら精製した材料をもとに電気興奮膜を再構成し,その機能が軸索の機能と基本的に一致すれば神経興奮の機能と構造が良く理解されたことになろう。
従って現代の神経興奮の課題はHodgkinとHuxleyが提起した問題に答えることである。すなわち,①イオンの選択透過を行う蛋白質(チャネル蛋白質と呼ぶ)を膜から抽出・精製し,また膜での存在様式を明らかにする,②電圧リセプターの膜での存在部位を明らかにし,この物質を膜から抽出・精製すること,③電圧リセプターとチャネル蛋白の相互作用がどのようにして担われているか明らかにすること,などであろう。そして最後にこれら精製した材料をもとに電気興奮膜を再構成し,その機能が軸索の機能と基本的に一致すれば神経興奮の機能と構造が良く理解されたことになろう。
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