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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻2号

1981年04月発行

文献概要

解説

免疫レプリカ電気泳動法とその周辺

著者: 太田英彦1

所属機関: 1浜松医科大学生化学第2講座

ページ範囲:P.155 - P.161

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 等電点ゲル電気泳動法(IF)を含むゲル電気泳動法は,タンパク質や糖タンパク質の分析に広く用いられている。分解能が優れていること,試料が微量でよいこと,装置が比較的安く,手軽に行なえること等,数多くの利点のためであるが,その反面,ゲルの染色後,検出された多数のタンパク質が一体どういうタンパク質なのか,目指すタンパク質がそれらの内のどれであるのか,迷うことも多い。その上,非イオン性界面活性剤で可溶化した膜タンパク質のIFでは,人工的に複数のバンドが生じている例もある(Guengerich,1979)。また,ドデシル硫酸ソーダ(SDS)を用いたポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)では,試料に熱処理を加えない場合ですら,泳動後に何らかの酵素活性を検出して,タンパク質バンドとの対応をつけることは,極く一部の例外的な酵素を除いてまず不可能である(上里,1980)。
 ここに紹介する免疫レプリカ法(immune replicate electrophoresis)は,ゲル電気泳動後,特定のタンパク質の存在位置を,免疫学的に検出する方法の1つである。この方法は,試料タンパク質を抗原性やレクチン結合活性に基づいて検出するため,変性したタンパク質でも特異性の高い検出が可能であり,又放射性同位元素(RI)ラベルを用いて感度を上げることもできる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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