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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻2号

1981年04月発行

文献概要

実験講座

カイニン酸を用いる脳組織の破壊法について

著者: 永雄総一1

所属機関: 1東京大学医学部第1生理学教室

ページ範囲:P.162 - P.170

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 グルタミン酸の強力な協働物質であるカイニン酸を神経組織に注入すると,神経細胞体と樹状突起に存在する興奮性アミノ酸のレセブターに作用し,その細胞膜を持続的に強く興奮させ,細胞体・樹状突起を破壊するが,注入部位を通過する線維やシナプス前軸索には殆ど影響を与えない。さらに破壊される細胞にもある程度までは選択性が見られるという。このようなカイニン酸の特徴的な毒物作用を応用すれば,従来の吸引のような機械的方法や,電気凝固のような破壊実験よりも,さらに選択性の高い破壊実験が可能になる。ここでは現在まで報告されているカイニン酸の薬物作用,毒物学的作用機序,破壊実験の実例について検討し,併わせて我々の教室における実験を紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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