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人類の染色体研究—主として古典について(中)
著者: 牧野佐二郎1
所属機関: 1北海道大学理学部染色体研究施設
ページ範囲:P.250 - P.253
文献購入ページに移動 人類の染色体研究が,古典切片法の影響のもとに,渾沌としていた時代(染色体数が±24とか±30とか報告されていた時期)に,染色体数の一定性,即ち基本染色体数の存在を発見した最初の学者はウィニワルテル(de Winiwarter, H.,1912)である。1912年という研究渾沌の時代に人類の染色体数は24とか30前後というような数の少ない,しかも不定なものではなく,47という基本数をもつということを,生殖細胞においてきわめて詳細な研究を行いこれを設定した。すなわち,男性生殖細胞には精原細胞に47,第一精母細胞に24,第二精母細胞に23と24,女性生殖細胞には卵原細胞に48という染色体数を確認した(図13〜15)。この時代におけるこの研究業績は具眼の学究者の注目を引いたのはいうまでもなく,毅然として他を睥睨するの観があり,細胞学研究史に記として残る偉業である。ウィニワルテルの発表以後にもなお不鮮明,不審なる染色体数をあげている研究もあるが,具眼の研究者の人類の染色体数に関する観念はウィニワルテルのみた所に集中し,Grosser(1921,1927),Rappeport(1922),Schachow(1926),Kemp(1930)などの研究にそれをみることができる(前号の表1-a参照)。ウィニワルテルの研究はそれ以後における研究の発達に貢献した所が大きい。
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