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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻4号

1981年08月発行

文献概要

特集 膜の転送 総説

分泌における膜の転送

著者: 菅野富夫1

所属機関: 1北海道大学獣医学部獣医生理学講座

ページ範囲:P.313 - P.316

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 分泌(secretion)という言葉には広義と狭義とがあり,しばしば混乱を招いている。広義では分泌物素材とエネルギー源の摂取,分泌物の生合成,分泌物の細胞内輸送とその貯蔵,さらに分泌物の放出までの一連の細胞機能の総称である。狭義では,放出のみを指す言葉である。開口放出exocytosis,eccytosis,emiocytosis,reverse pinocytosisは一般には放出の一形式を表わす言葉であり,細胞内の分泌果粒の果粒膜が分泌細胞膜放出部位の内膜面と接着し,融合し,その融合部位が開口し,開口部から果粒内容のみが細胞外に放出されるという動的な過程を表現している1)
 刺激一放出連関(stimulus-secretion coupling)という言葉も,厳密には,放出刺激が分泌細胞膜受容体に作用し〔Ca2+i上昇をへて,開口放出を始動するまでの放出過程を表現している。しかし,De Duve2)がexo-cytosisという言葉を提案したときには,広義に用いており,endocytosisと一対にして両者を含めcytosisと表現したのである。endocytosisのうちの一形式pinocytosis(細胞の飲作用)の逆の過程と考えてreverse pinocytosisという表現が使われているが,De Duveの提案にしたがえばこの表現も広義の意味をもってくる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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