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特集 膜の転送 総説
食機能における膜タンパクの変動—マクロファージ細胞膜を中心として
著者: 富田光子1 中尾真2
所属機関: 1埼玉医科大学生化学教室 2東京医科歯科大学医学部第1生化学教室
ページ範囲:P.317 - P.324
文献購入ページに移動マクロファージ(Mφ)は無脊椎動物,脊椎動物を問わずあらゆる動物に存在し,多核白血球と並びともに"professional phagocyte"ともよばれるように,旺盛な貪食能をもつことが知られている。多核白血球は遊走性もより高く,専ら食べることに専念して早く死んでゆき,どちらかといえば原始的な性質が強い。それに対してMφは単に食機能が盛んであるだけでなく,免疫にも関係し,タンパクやおそらく糖鎖の合成を行って長期間生きており,ある種の条件下で分裂する。したがって細胞の代謝回転をはじめ,より高度に分化した機能を長期間にわたってしらべようとするときは,Mφの方がよい材料であろう。
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