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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻4号

1981年08月発行

文献概要

解説

細胞質Achとシナプス前膜のオペレイター仮説

著者: 大澤一爽1

所属機関: 1東京大学医学部第2生理学教室

ページ範囲:P.344 - P.353

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 神経化学伝達物質の放出機構については,まだ殆んど解明されていない。Katzによって報告された,いわゆる小胞仮説25)を支持するWhittakerやZimmermannと,アセチルコリン(Ach)は細胞質含有であるとするDunantら1,5〜8,16)の提唱する仮説が論争になって,Trends in Neurosciences誌上で初回(1978年)から今曰まで議論が平行線をたどったまま続いている。
 国際神経化学会のsatellite symposiumで筆者がシナプス小胞に高濃度のAchが存在することを報告した(Exp. Brain Res. 24:19,1976)時,Marchbanks7)は格言をもち出して「雑音の中から信号を取り出すのが,これからの科学である」と云って質問をしてきた。現在では当り前のような言葉になっているが,DunantらはこのMarchbanksの考えを生かして,細胞質含有Achから,シナプス前神経膜にAchを通過させるオペレイターが存在するという仮説1)にまで発展させていったものと思われる。このオペレイター仮説を綜説するには,電気生理と生化学と形態の実験結果に対応がつくように説明をもっていかねばならないが,何れの実験手法もいわば境界領域にまたがった技術問題を含んでいるので,複雑である。電極を用いる電気生理学的手法はイオンの動きをキャッチ出来るが,イオンの種類までは識別できない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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