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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻4号

1981年08月発行

文献概要

話題

シーラカンスの体液

著者: 平野哲也1

所属機関: 1東京大学海洋研究所

ページ範囲:P.378 - P.381

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 Ⅰ.生きた化石
 シーラカンス(Latimeria charumunae)は,1938年に発見された,非常に原始的な魚である。体長は1.5m,体重50kgにもなる大型の魚で,そのひれは他の魚と異なり体に直接ついているのではなく.うろこのある筋肉質の柄の先についている。そのため,特に胸びれなどは,魚のひれと,原始的な陸生脊椎動物の前足の中間型のようにみえ,いかにも陸生動物は,この魚から進化したのではないかと思わせる姿をしている。分類学上は,硬骨魚網,総鰭目の管椎亜目に属する。総鰭目は肺魚類とともに肉鰭類(内鼻孔魚類)とよばれる亜綱を形成し,鼻孔と口腔をつなぐ内鼻孔をもち,うきぶくろの代わりに肺が発達している。現に最初の両生類は,デボン紀末にこの総鰭類に属する淡水魚から生じたと云われている1)(図1)。
 シーラカンス(Coelacanth)という名は,文字通り中空の棘"を意味し,この類のひれの棘条が中空であることからきている。シーラカンスの仲間である管椎亜目の魚は,従来化石としてしか知られておらず,7,000万年前に絶滅したと考えられていた。それが見たところ化石とほとんど変わらない姿で生きていたのが発見された訳で,動物学関係者のみならず,世界の注目を集めたのも当然で.まさに"生きた化石"と呼ぶにふさわしい魚である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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