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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻5号

1981年10月発行

研究のあゆみ

蛋白質研究の回顧と展望

著者: 今堀和友1

所属機関: 1東京都老人総合研究所

ページ範囲:P.437 - P.445

文献概要

 Ⅰ.蛋白質と生気論
 まず初めに,蛋白質ということの歴史的な背景ですが,ドイツ語のEiweissは卵の白身という言葉からきたものです。一方proteinという言葉を最初に提案したのは,オランダのMulderという学者でありまして,彼が"Annalen"に出した「Zusammensetzung von Fibrin Albumin Leimzucker Leucin und S. W.」という論文の中で,蛋白質ということを初めて提案しています。しかしながら,それは本来はBerzeliusの示唆によるもので,1838年のBerzeliusからMulderへの手紙の中で,彼はproteiosというギリシア語からproteinという名前をつけようということを提案しています。すなわらessentialfor life,つまり生命にとって最も大切なものであるから,第一義的という意味でproをつけ,proteinと名づけるということを示唆している訳です。
 当時,ギリシア時代からずっとあった一種の生気論から出発して,蛋白質の中には当然Lebenskraft,すなわちvital forceというものが収められているだろうという考え方が存在していただろうと思います。事実,例えば1861年イギリスのGrahamは,溶液の中に溶けている溶質をcrystalloidとcolloidの2つに分けております。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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