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特集 筋小胞体研究の進歩
特集「筋小胞体研究の進歩」によせて
著者: 遠藤実1
所属機関: 1東北大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.478 - P.478
文献購入ページに移動 学問研究の進歩は我々にとって屡々全く予測不能である。大発見が何の前触れもなしにやって来て,思いがけない飛躍が突然なされることもあれば,一時期,このレールの上を進んで行けば確実にゴールに到達するであろうと誰もが予想したのに,暫くして見るとゴールは再び霧の彼方に隠れて全く見えない,といったことも多い。筋小胞体生理学の現況は正にこの後者の場合に相当するようである。
1960年代の初頭までに,江橋らの努力によって,いわゆる筋弛緩因子は筋小胞体に他ならないこと,筋小胞体はATP存在下にCaをとりこむこと,低濃度のCaが収縮蛋白系を活性化すること,従って筋小胞体のCaとりこみが弛緩因子による筋弛緩の機序であることなどが相次いで明らかにされ,骨格筋の生理的収縮弛緩制御機構における筋小胞体の意義がほぼ確立した。それ以後の筋小胞体生理学における最大の課題は,言うまでもなく,細胞膜(T管膜)の興奮がどのようにして小胞体からのCa遊離を起こすか,の機序の解明であった。1974年の筋のGordon Conferenceにおいては,T管から小胞体への情報伝達の第1段階と考えられるcharge movementの発見,小胞体膜の膜電位変化と思われる光学的信号の検出,skinned fiberによる小胞体からのCa遊離の研究,などの新知見が発表され,この課題の解決も間近いのではないかと思わせた(遠藤:生体の科学,26:97-100,1975)。
1960年代の初頭までに,江橋らの努力によって,いわゆる筋弛緩因子は筋小胞体に他ならないこと,筋小胞体はATP存在下にCaをとりこむこと,低濃度のCaが収縮蛋白系を活性化すること,従って筋小胞体のCaとりこみが弛緩因子による筋弛緩の機序であることなどが相次いで明らかにされ,骨格筋の生理的収縮弛緩制御機構における筋小胞体の意義がほぼ確立した。それ以後の筋小胞体生理学における最大の課題は,言うまでもなく,細胞膜(T管膜)の興奮がどのようにして小胞体からのCa遊離を起こすか,の機序の解明であった。1974年の筋のGordon Conferenceにおいては,T管から小胞体への情報伝達の第1段階と考えられるcharge movementの発見,小胞体膜の膜電位変化と思われる光学的信号の検出,skinned fiberによる小胞体からのCa遊離の研究,などの新知見が発表され,この課題の解決も間近いのではないかと思わせた(遠藤:生体の科学,26:97-100,1975)。
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