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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻6号

1981年12月発行

実験講座

ポジトロンエミッショントモグラフィー

著者: 松澤大樹1

所属機関: 1東北大学抗酸菌病研究所放射線医学部門

ページ範囲:P.525 - P.533

文献概要

 1972年,X線コンピュータートモグラフィー(X-ray computer-tomography:X-CT)は,イギリスのHounsfield1)によって完成されたが,それは,世界的な医学へのエンジニアリング導入による診断機の開発の歴史の流れの中での一里塚であったといえる。特に日本における梅垣らの研究2)は特筆すべきものがある。筆者も共同研究者の1人としてこの研究に参加することができたことを今でも幸せであったと思っている。梅垣は,当時コバルトの深部治療機に癌治療の主役を明け渡し,部屋の隅に転がっていた深部X線治療機を用いて次のような実験を行なった。管球を鉛で覆い,小さな穴をあけ,細いX線のビームをもって躰をリニヤに走査して,対向するところに検出器をおき,X線吸収率の差を定量的に測定する装置を考案し,多くの新しい情報を得た。多方向から走査して吸収率の差をコンピューターに記意させ,これを面に展開すれば,Hounsfieldの開発したX-CTが完成されるのである。Hounsfieldの完成に先立つ十数年前であった。
 エミッショントモグラフィーの歴史は,このX-CTの開発の歴史より古い3)。しかし,ポジトロンエミッションコンピュータートモグラフィー(PE-CT)の歴史は浅く,1975年,ワシントン大学のTer-Pogossian4)により初めて完成され,その後今日に至るまでの日進月歩の歴史がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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