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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻6号

1981年12月発行

文献概要

講義

人赤血球における膜と細胞骨格の相互作用

著者: 石川春律2

所属機関: 1 2東京大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.535 - P.539

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 赤血球膜をTriton X-100のような非イオン系の界面活性剤で拙出しますと,あとに網工ないし殻が残ります(Yu, Fischman and Steck,1973)。この網工こそ膜骨格または赤血球細胞骨格といわれるものです。赤血球膜やその関連蛋白質に関する興味が高まってきましたのは,膜骨格が他の細胞型にも存在することがわかり(Ben-Ze'evら,1979;Mescherら,1981;Lunaら,1981),さらにすべての真核細胞で,細胞内を横切って走る細胞骨格構造が赤血球細胞骨格に存在する成分と同じようなもの,すなわちアクチン,アクチン結合蛋白質細胞骨格接着物質を含んでいることがわかってきたことによります。生化学および電子顕微鏡による研究の結果,今や赤血球細胞骨格の分子構成のあらましが明らかになりました(図1)。この分子構成がそれ自体,他の多くの膜骨格ないし細胞骨格のモデルになり得るかは疑問ですが,赤血球細胞骨格の研究からでてきた方法や教訓は他のもっと複雑な細胞骨格の分析に指針を与えてくれるでしょう。
 私の研究室では,赤血球細胞骨格を分析するための「戦略」は,膜の各成分を選択的に抽出・純化し,抽出成分と膜小胞との結合を分析し,そして溶液系における結合を分析し,さらに電子顕微鏡によって部位特異的結合を直接観察をすることでした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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