icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻1号

1982年02月発行

特集 細胞核

総説

ヌクレオソーム構造と動態

著者: 倉科喜一1

所属機関: 1金沢大学薬学部製薬化学科

ページ範囲:P.21 - P.28

文献概要

 真核細胞のクロマチンを形成している物質はDNA,塩基性蛋白質であるヒストン,ヒストン以外の非ヒストン性蛋白質と呼ばれる多種類の蛋白質,少量のRNAである。クロマチン構造は主にヒストンの結合によって決定されるから,その結合様式,結合していることの生理的意義などが1960年代を通じて研究されてきた。1970年代に入り,単離細胞核を低張処理して膨潤させて得たクロマチンの電子顕微鏡像1,2),ヌクレアーゼによる限定分解で得られるDNAの長さが約200塩基対の整数倍であるという観察3,4),ヒストン同士の会合性の性質,X線回折像5),ヒストン分子種の量比に関する考察6)などから,クロマチンはヌクレオソームと呼ばれる基本単位が繰り返している構造をとっていることが明らかにされた。全ての細胞のクロマチンがヌクレオソーム構造をとっていること.ヌクレオソーム構造などについてはいくつかの詳細な総説7〜9)が書かれているのでここでは.要点のみを記し,ヌクレオソーム形成部位とDNA塩基配列との関係(phasing),ヌクレオソーム構造の可変性について述べたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら