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文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻1号

1982年02月発行

特集 細胞核

総説

核内低分子量RNA(snRNA)の構造と機能

著者: 原田文夫1

所属機関: 1国立がんセンター研究所ウイルス部

ページ範囲:P.29 - P.37

文献概要

 真核生物の細胞核内には,tRNAやリボソームの5S及び5.8S RNAとは異なる4〜8Sの一群の低分子量RNA(small nuclear RNA, snRNA)が存在する。これらのRNAは十数年前に発見され1〜3),その後少数の研究者達によって細胞内での分布,生合成の様式,いくつかの分子種についての一次構造の決定などがなされて来た4〜7)。最近,snRNAの内のU1 RNAがmRNA前駆体中のイントロン(介在配列,mRNAが成熟する過程で除かれる部分)の両末端の配列と相補的な配列を有することから,このRNAがスプライシング(mRNA前駆体からイントロンを除去し,成熟mRNAになる機構)に関与する可能性が示唆され8,9),これを間接的に支持する実験10)も出るに及んで,大きな関心を呼ぶに至った。この様にsnRNAの研究は,遺伝子構造の解析の進歩に伴って最近最も発展した分野の1つである。
 本稿では,現在最も良く研究が進んでいる哺乳動物細胞のsnRNAについて主に話を進めて行きたい。尚,最近大島11)及び金久12)によって総説が発表されているので,参照されたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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