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文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻2号

1982年04月発行

文献概要

特集 細胞の寿命と老化 総説

正常発生過程にみられる生理的細胞死

著者: 金田一孝二1

所属機関: 1東北大学歯学部解剖学教室

ページ範囲:P.96 - P.102

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 系統発生上,一時的に現われる器官,例えば,前腎,中腎,Müller管,尾などでは,発生が進むにつれ,それらの器官は痕跡的となったり,あるいは消失してしまう。このような器官では,発生過程のある時期に,細胞が死ぬことによって器官が消滅するのであろうということはよく理解できる。それに対し,通常の器官の発生途上で細胞が生理的に死に至るということは考えにくい。なぜならば時間とエネルギーの浪費であり,非常に不経済な事象であるからである。しかしながら正常な発生過程,それも初期の段階で,実際に細胞死が集団として,あるいは健全な細胞に混在して起こるのである。
 Glücksman(1951)1)は,正常な個体発生過程に見られる細胞死に注目して,胎生期の器官に細胞死の出現する部位として74ヵ所を挙げ,さらに系統発生過程,形態発生過程,組織発生過程で見られる細胞死の器官を分類している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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