文献詳細
特集 細胞の寿命と老化
総説
文献概要
系統発生上,一時的に現われる器官,例えば,前腎,中腎,Müller管,尾などでは,発生が進むにつれ,それらの器官は痕跡的となったり,あるいは消失してしまう。このような器官では,発生過程のある時期に,細胞が死ぬことによって器官が消滅するのであろうということはよく理解できる。それに対し,通常の器官の発生途上で細胞が生理的に死に至るということは考えにくい。なぜならば時間とエネルギーの浪費であり,非常に不経済な事象であるからである。しかしながら正常な発生過程,それも初期の段階で,実際に細胞死が集団として,あるいは健全な細胞に混在して起こるのである。
Glücksman(1951)1)は,正常な個体発生過程に見られる細胞死に注目して,胎生期の器官に細胞死の出現する部位として74ヵ所を挙げ,さらに系統発生過程,形態発生過程,組織発生過程で見られる細胞死の器官を分類している。
Glücksman(1951)1)は,正常な個体発生過程に見られる細胞死に注目して,胎生期の器官に細胞死の出現する部位として74ヵ所を挙げ,さらに系統発生過程,形態発生過程,組織発生過程で見られる細胞死の器官を分類している。
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