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文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻2号

1982年04月発行

文献概要

特集 細胞の寿命と老化 総説

心筋細胞の老化

著者: 今村喜久子1 山元章示1 中山康1 河村慧四郎1

所属機関: 1大阪医科大学第3内科

ページ範囲:P.109 - P.118

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 最近,老齢心の形態,代謝,機能はいずれも,若年心や壮年心の場合とかなり異なることが明らかにされて来た。その背景には心筋細胞の老化の関与が考えられる。Meerson1,2)によれば,老齢心の特徴はcomplex of myocardial wearであり,心筋には加齢とともに,心筋細胞の肥大,膠原線維の増殖,蛋白合成能の低下,DNA,RNAの減少およびDNA/RNA比の上昇,ミトコンドリアの酸化的リン酸化の低下など,形態や代謝面での多彩な変化が認められる。老齢心の機能に関して,最近の超音波や核放射性物質による非観血的検査成績では,安静時における左室収縮機能,心拍出量,拡張期容量はいずれも正常範囲にあるが3,4),運動負荷時では,仕事量や酸素消費量は加齢とともに直線的に減少し,心臓の予備力の低下を示唆する5)。さらに循環調節機構については,加齢とともに安静時の交感ならびに副交感神経緊張は低下するが,運動負荷時には交感神経緊張は亢進し,副交感神経緊張は減弱することが認められ,種々の刺激に対する調節感度の異常が示唆される6,7)
 一般に老齢にみられる「異常所見」を評価するのに,その所見が自然の老化過程のある局面を意味するのか,老化前でもおこり得る病的現象の偶発を意味するのか,あるいはその両者が互いに修飾しあった像を意味するのか,判断が困難な場合が多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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