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静止および興奮時に細胞膜を横切るNa+,Ca2+,K+,Cl-等各種イオンの機序やそれらへの薬物作用を電気生理学的手段で解明するには,細胞内外のイオン環境を人工的に制御し,膜電位固定下にイオン電流を単離して実験を行なうことが必要である。この条件を満たす標本として過去,現在にわたりヤリイカ巨大神経軸索があり,膜興奮機序の解析に使われている。ところでキエフのKostyukeら1),ガルベストンの私達2〜4)と高橋ら5)による細胞内灌流法の碓立は,各種神経細胞,神経節細胞,内分泌細胞,各種培養細胞及び卵細胞において電圧固定法下に単一Na+,K+やCa2+電流(INa,IK,ICa)の電気生理学的および薬理学的研究を可能にした。そしてこの細胞内灌流法は酵素処理によって単離された単一心筋標本にも適用される。そこで従来から用いられている摘出心筋切片標本と較べて,酵素処理により得られる単一心筋標本の実験上の利点について考えてみよう。
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