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急展開するマウスでの遺伝子操作
著者: 相沢慎一12
所属機関: 1東京都老人総合研究所生化学部基礎生化学 2
ページ範囲:P.135 - P.143
文献購入ページに移動 レコンビナントDNAの技術の発展とともに培養細胞へのDNAトランスファーの技術の開発により,現在高等動物での遺伝子発現及びその調節に関わるDNA配列について活発な検討が行なわれている。しかし培養し得る細胞には限りがあり,発生分化に伴う継時的で組織特異的な遺伝子発現の制御にあずかるDNA配列についての検討を,培養細胞を用いるこの系に期待することは出来ない。いうまでもなくこの検討のための最良の方法は,遺伝子操作を受精卵もしくは初期胚で行ない,操作された遺伝子特性を生殖細胞に安定に有する変異動物を作ることである。かつては夢とも思えたこの課題が,DNAの受精卵前核への注入,及びテラトカルチノーマを用いる系により現在可能となり,ヒト遺伝疾患の動物モデルの作成,個体発生から老化の過程を通じての遺伝子発現に関わるさまざまな課題の検討へと,多くの研究者のカスケード的流入を迎えようとしている。現在日本でもこの分野は多くの注目をあびていることと考えられるが,残念ながらこれ迄この分野への日本の研究者による貢献は乏しい。1981年は私自身この分野にいてエポックメーキングな1年であった感深く,その成果を中心に問題点と今後の展開について,G.M.Martinとともに私が携わってきた課題と現在の興味より,やや独断的に述べてみたい。
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