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文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻2号

1982年04月発行

文献概要

講義

頭頂連合野光感受性ニューロンの機能的性質

著者: 酒田英夫2

所属機関: 1 2都神研・神経生理

ページ範囲:P.145 - P.156

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 この10年間に神経科学に対する人々の関心が非常に高まり研究活動が爆発的に進んでいる。特に日本ではその傾向が著しいように思われる。中でも最も重要な進歩の1つは,動物の行動をコントロールしながら脳の中から単一神経細胞の活動を記録するというテクニックが広く応用されるようになったことである。初めにこの方法を開発したのはカナダのJasper(1958)である。私は1960年のモスクワのコロキウムで彼が発表したのをよく覚えているが,当時体性感覚系の研究をやっていた私にとってこれはいかにもやりにくそうなテクニックという感じがした。そのために私はこの重要な脳研究における進歩の道標(sign post)を見のがしてしまった。この方法を更に発展させたのはNIHのEvarts博士で,運動系,特に大脳皮質の運動野にこの方法を応用して非常に成功をおさめた。
 私にとってこの方法の利点は,何世紀にもわたって科学者が夢見てきた高次の脳機能のメカニズムを解明することがこれによって可能になったということである。すなわち,この方法によって非常に複雑な注意の問題や学習,記憶,果ては忘却などのメカニズムを理解するための第1歩を踏み出すことができるようになった。しかし実際に行動している動物から神経活動を記録することに伴っていろいろ複雑な問題が起こってきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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