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文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻3号

1982年06月発行

文献概要

解説

GABAレセプター研究に関する最近の話題—神経化学的観点を中心として

著者: 栗山欣弥1 西村千尋1

所属機関: 1京都府立医科大学薬理学教室

ページ範囲:P.211 - P.219

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 γ-アミノ酪酸(GABA)は現在,無脊椎動物の神経系のみならず哺乳動物中枢神経系においても,重要な抑制性神経伝達物質の1つと考えられている1)。すなわち,甲殻類の神経系や神経—筋接合部においてGABAとその合成律速酵素,L-glutamate decarboxylase(GAD)活性は抑制性の軸索や細胞体にのみ局在することが知られており,この抑制性神経の刺激によりCa2+依存性にGABAが放出されること,また電気泳動的に適用したGABAは,抑制性神経刺激と同様にシナプス後膜を過分極させるが,これにはClの膜透過性増加が関与しており,この作用がGABA拮抗薬ビククリン(bicuculline)やピクロトキシン(picrotoxin)によって阻害されること,そして放出されたGABAの不活性化機構として高親和性のNa依存性GABA取り込み機構が存在することなど,神経伝達物質が具有すべき諸条件を充たす実験成績が,GABAの場合にもすでに集積されているのである。
 GABAに関する生理学的な研究は,従来無脊椎動物を中心として進められてきたが,哺乳動物中枢神経系におけるGABAの役割も,電気生理学的知見のみならず,免疫組織化学やオートラジオグラフィ等の新しい形態学的手法の導入と,脳シナプス膜におけるGABAの特異的結合部位(GABAレセプター;GABA-R)に関する生化学的研究などの発展に伴い,近年次第に明らかにされつつある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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