文献詳細
文献概要
解説
GABAレセプター研究に関する最近の話題—神経化学的観点を中心として
著者: 栗山欣弥1 西村千尋1
所属機関: 1京都府立医科大学薬理学教室
ページ範囲:P.211 - P.219
文献購入ページに移動 γ-アミノ酪酸(GABA)は現在,無脊椎動物の神経系のみならず哺乳動物中枢神経系においても,重要な抑制性神経伝達物質の1つと考えられている1)。すなわち,甲殻類の神経系や神経—筋接合部においてGABAとその合成律速酵素,L-glutamate decarboxylase(GAD)活性は抑制性の軸索や細胞体にのみ局在することが知られており,この抑制性神経の刺激によりCa2+依存性にGABAが放出されること,また電気泳動的に適用したGABAは,抑制性神経刺激と同様にシナプス後膜を過分極させるが,これにはCl-の膜透過性増加が関与しており,この作用がGABA拮抗薬ビククリン(bicuculline)やピクロトキシン(picrotoxin)によって阻害されること,そして放出されたGABAの不活性化機構として高親和性のNa+依存性GABA取り込み機構が存在することなど,神経伝達物質が具有すべき諸条件を充たす実験成績が,GABAの場合にもすでに集積されているのである。
GABAに関する生理学的な研究は,従来無脊椎動物を中心として進められてきたが,哺乳動物中枢神経系におけるGABAの役割も,電気生理学的知見のみならず,免疫組織化学やオートラジオグラフィ等の新しい形態学的手法の導入と,脳シナプス膜におけるGABAの特異的結合部位(GABAレセプター;GABA-R)に関する生化学的研究などの発展に伴い,近年次第に明らかにされつつある。
GABAに関する生理学的な研究は,従来無脊椎動物を中心として進められてきたが,哺乳動物中枢神経系におけるGABAの役割も,電気生理学的知見のみならず,免疫組織化学やオートラジオグラフィ等の新しい形態学的手法の導入と,脳シナプス膜におけるGABAの特異的結合部位(GABAレセプター;GABA-R)に関する生化学的研究などの発展に伴い,近年次第に明らかにされつつある。
掲載誌情報