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文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻3号

1982年06月発行

実験講座

炭酸脱水酵素の細胞・組織化学的観察法

著者: 菅井尚則1 大崎丈夫1

所属機関: 1福島医科大学第2解剖学教室

ページ範囲:P.236 - P.239

文献概要

 炭酸脱水酵素carbonic anhydrase(CAH)は,MeldrumとRoughton1)により,1933年に生理学および生化学的に赤血球における存在が証明されてから,炭酸ガスの水和,または炭酸脱水反応を触媒する酵素として,一般的に知られるに至った。その後,生体内におけるCAHの分布域が意外に広いことが明らかになるにつれて,その機能的意義への関心があらためて高まってきた(例えば,呼吸生理,胃の塩酸分泌,および腎尿細管の吸収・分泌におけるCAHの意義)。
 一方において,CAHの組織化学的方法は1953年Kurata2)によって初めて提示され,それにつづいてHäussler3),Hansson4)などの方法が報告された。組織化学的分野においてつきまとう宿命的なものではあるが,この場合も,表現された反応生成物が真にCAHの局在を意味しているのか,その特異性をめぐって20年以上にもおよぶ論議がなされてきた。もっとも批判的立場をとったのはMuther5,6)であり,組織化学的方法の有用性を評価したのはRosen7)およびLönnerholm8)たちであった。その詳細はここでは省くが,そのような経過をたどって,現在Hansson法が信頼度の高い方法として一般的に使用されるに至っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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