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特集 リン酸化 総説
蛋白質のリン酸化とその意義
著者: 野々村禎昭1
所属機関: 1東京大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.285 - P.297
文献購入ページに移動 蛋白質にリン酸が安定に結合して存在していることは近代的な生化学の研究がはじまった時から気付かれていた。しかしこのような安定なリン酸の蛋白質への結合——蛋白質のリン酸化の意義が認められるようになるのは1955年にグリコーゲンの代謝過程でphosphorylase系のリン酸化—脱リン酸化による調節機構が発見されてからである1,2)。さらに1968年KrebsらのグループによるサイクリックAMP依存性蛋白質キナーゼ(以下,cAMP-kinaseと書く)の発見3)は蛋白質リン酸化への研究に拍車をかけ,それから以降この十数年でおびただしい数の蛋白質のリン酸化に関する報告がなされている。
本号の特集は蛋白質のリン酸化についてもっともhotな話題が総説に3つ,解説に1つ書かれている。本稿はひとつのテーマを追わず,膨大にふくれあがり,複雑化し,理解しにくくなってしまった蛋白質のリン酸化について概観することを試みた。蛋白質のリン酸化の研究は多岐にわたっており,蛋白質が関係する生物学のほとんどの問題にかかわりあっている。リン酸化の全体を概観することをあえて試みたのは,現在自分達が扱っている平滑筋のmyosin light chainのリン酸化—脱リン酸化の問題が蛋白質のリン酸化全体からはどのように位置付けられるのか,どのようにかかわり合っているかを見直してみたいと思ったからである。
本号の特集は蛋白質のリン酸化についてもっともhotな話題が総説に3つ,解説に1つ書かれている。本稿はひとつのテーマを追わず,膨大にふくれあがり,複雑化し,理解しにくくなってしまった蛋白質のリン酸化について概観することを試みた。蛋白質のリン酸化の研究は多岐にわたっており,蛋白質が関係する生物学のほとんどの問題にかかわりあっている。リン酸化の全体を概観することをあえて試みたのは,現在自分達が扱っている平滑筋のmyosin light chainのリン酸化—脱リン酸化の問題が蛋白質のリン酸化全体からはどのように位置付けられるのか,どのようにかかわり合っているかを見直してみたいと思ったからである。
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