icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻4号

1982年08月発行

文献概要

特集 リン酸化 総説

蛋白質のリン酸化とその意義

著者: 野々村禎昭1

所属機関: 1東京大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.285 - P.297

文献購入ページに移動
 蛋白質にリン酸が安定に結合して存在していることは近代的な生化学の研究がはじまった時から気付かれていた。しかしこのような安定なリン酸の蛋白質への結合——蛋白質のリン酸化の意義が認められるようになるのは1955年にグリコーゲンの代謝過程でphosphorylase系のリン酸化—脱リン酸化による調節機構が発見されてからである1,2)。さらに1968年KrebsらのグループによるサイクリックAMP依存性蛋白質キナーゼ(以下,cAMP-kinaseと書く)の発見3)は蛋白質リン酸化への研究に拍車をかけ,それから以降この十数年でおびただしい数の蛋白質のリン酸化に関する報告がなされている。
 本号の特集は蛋白質のリン酸化についてもっともhotな話題が総説に3つ,解説に1つ書かれている。本稿はひとつのテーマを追わず,膨大にふくれあがり,複雑化し,理解しにくくなってしまった蛋白質のリン酸化について概観することを試みた。蛋白質のリン酸化の研究は多岐にわたっており,蛋白質が関係する生物学のほとんどの問題にかかわりあっている。リン酸化の全体を概観することをあえて試みたのは,現在自分達が扱っている平滑筋のmyosin light chainのリン酸化—脱リン酸化の問題が蛋白質のリン酸化全体からはどのように位置付けられるのか,どのようにかかわり合っているかを見直してみたいと思ったからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?