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特集 成長因子
総説
文献概要
この10年ほどの間に,多くの増殖因子(growth factors)が発見され,そのうちいくつかは精製されている。これらは培養細胞の増殖(ほとんどはDNA合成)を促進する活性を持つことを指標に見出され,培養細胞を用いた定量的検定法を用いて精製されたペプチドまたは蛋白質である。すなわち,生命科学研究の近年の1つの有力手段である培養細胞系が増殖因子研究の母体である。一方,増殖因子よりは研究の歴史の古いペプチドホルモン類は生体における生理作用を基盤にして研究が進められてきた。従って,Gordon Satoが指摘しているように1),増殖因子はホルモンであると一般的に言えるようになるには,一部の増殖因子を除いて,それらの生理作用を明確にする今後の研究を待たねばならない。
がん細胞の自発的な増殖機構と関連したそれ自身が産生する増殖因子の研究の歴史も古く,その経過についてはすでに概説した2)。がん細胞由来の増殖因子の場合も,前述の一般の増殖因子の場合と同様に,そのほとんどが培養細胞を標的として研究が進められた2)。従って,この場合も生体におけるがん組織での生理作用は明らかではない。なお,血管内皮細胞に作用するtumor angiogenesis factor3)や担がん肝細胞に作用するトキソホルモン様増殖因子4)の場合は,生体での作用から見出された増殖因子である。
がん細胞の自発的な増殖機構と関連したそれ自身が産生する増殖因子の研究の歴史も古く,その経過についてはすでに概説した2)。がん細胞由来の増殖因子の場合も,前述の一般の増殖因子の場合と同様に,そのほとんどが培養細胞を標的として研究が進められた2)。従って,この場合も生体におけるがん組織での生理作用は明らかではない。なお,血管内皮細胞に作用するtumor angiogenesis factor3)や担がん肝細胞に作用するトキソホルモン様増殖因子4)の場合は,生体での作用から見出された増殖因子である。
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