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文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻6号

1982年12月発行

文献概要

特集 低栄養と生体機能 総説

栄養失調と染色体異常は相関するか

著者: 藤田道也1

所属機関: 1浜松医科大学生化学第2講座

ページ範囲:P.438 - P.443

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 Ⅰ.栄養失調(malnutrition)
 栄養失調には大きく分けてmarasmusとkwashiorkorがある。前者はtotal food intakeが非常に限られている状態で,protein-calorie malnutrition(略してPCM)とも呼ばれ,今から三十数年前の国内にふつうにみられた「栄養失調」である。marasmusという言葉はギリシャ語のmarainein(消粍する)からきているが,O. E. D. によると英語圏での一番古い用例は1656年のTrappの"Now, alas, I lie under a miserable marasmus"であり,1837年のSydney Smithからの引用では,"誰にもお気に入りの最後があるものさ:中風で死ぬやつもあればmarasmusで死ぬやつもある"とあって,marasmusはかつて結核を意味したのかもしれない。
 Kwashiorkorは英語圏では1935年に初めて用いられた。本来ガーナ原住民の言葉であるのをWilliams1)が英誌Lancetでそのまま用いたのである。同記事によるとクワシオルコルは原住民の赤ん坊が次の子供が生まれたときにかかる病気であり,トウモロコシ食に原因があるとされた。(栄養学的にみるとトウモロコシ食にはアミノ酸トリプトファンの欠乏がつきまとう。)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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