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文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻6号

1982年12月発行

文献概要

解説

カルチトニンによる生体内カルシウム調節の機構

著者: 山口正義1

所属機関: 1静岡薬科大学産業衛生学教室

ページ範囲:P.471 - P.481

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 カルチトニン(calcitonin;以下CTと略す)は,アミノ酸32個を有するポリペプタイドホルモンである。これは,Coppら1)により副甲状腺より分泌されて血清カルシウム(Ca)を急速に下降させる物質として発見された。その後,Hirschら2)は,CTが副甲状腺ではなくて甲状腺から分泌されることを見いだした。このようなCTの発見は血清Caの調節に関する実験生理学的研究の過程において生まれたもので,1962年にはじめて報告されてから今日まで20年を経過している。その間,CTの化学的性状が明らかにされるとともに,その分泌調節ならびに多くの生物学的作用が見いだされ,CTに関する知見の多大な集積をみ,本邦においてもいくつかの総説として紹介されている3〜6)。とくに,CTの骨吸収抑制作用は,代謝性骨疾患などに対する臨床的応用の試みがなされ,最近においては医薬品として開発されるにいたった。
 ところで,このホルモンが発見されてからその生理的意義については十分に解明されたとはいいがたいが,CTが哺乳類では甲状腺から,鳥類,両棲類および魚類では鰓後腺から分泌され,その存在が自然界に広く見いだされており,CTの強力な血清Ca低下作用が共通の生物学的現象であるなどの理由により,このホルモンがCa代謝の調節にきわめて重要な生理的役割を演じているものと理解されていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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