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カルチトニンによる生体内カルシウム調節の機構
著者: 山口正義1
所属機関: 1静岡薬科大学産業衛生学教室
ページ範囲:P.471 - P.481
文献購入ページに移動 カルチトニン(calcitonin;以下CTと略す)は,アミノ酸32個を有するポリペプタイドホルモンである。これは,Coppら1)により副甲状腺より分泌されて血清カルシウム(Ca)を急速に下降させる物質として発見された。その後,Hirschら2)は,CTが副甲状腺ではなくて甲状腺から分泌されることを見いだした。このようなCTの発見は血清Caの調節に関する実験生理学的研究の過程において生まれたもので,1962年にはじめて報告されてから今日まで20年を経過している。その間,CTの化学的性状が明らかにされるとともに,その分泌調節ならびに多くの生物学的作用が見いだされ,CTに関する知見の多大な集積をみ,本邦においてもいくつかの総説として紹介されている3〜6)。とくに,CTの骨吸収抑制作用は,代謝性骨疾患などに対する臨床的応用の試みがなされ,最近においては医薬品として開発されるにいたった。
ところで,このホルモンが発見されてからその生理的意義については十分に解明されたとはいいがたいが,CTが哺乳類では甲状腺から,鳥類,両棲類および魚類では鰓後腺から分泌され,その存在が自然界に広く見いだされており,CTの強力な血清Ca低下作用が共通の生物学的現象であるなどの理由により,このホルモンがCa代謝の調節にきわめて重要な生理的役割を演じているものと理解されていた。
ところで,このホルモンが発見されてからその生理的意義については十分に解明されたとはいいがたいが,CTが哺乳類では甲状腺から,鳥類,両棲類および魚類では鰓後腺から分泌され,その存在が自然界に広く見いだされており,CTの強力な血清Ca低下作用が共通の生物学的現象であるなどの理由により,このホルモンがCa代謝の調節にきわめて重要な生理的役割を演じているものと理解されていた。
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