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文献詳細

雑誌文献

生体の科学33巻6号

1982年12月発行

文献概要

実験講座

ペルオキシダーゼ法による初期発生の解析(HRPの微量注射法)

著者: 広瀬宜郎1

所属機関: 1東京大学理学部物理学教室

ページ範囲:P.482 - P.486

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 過去半世紀の発生学は,細胞分化に対するdeterminant(分化決定因子)を決める事に大きな精力を費やしてきたと言って間違いはなかろう。DNA発見以後はこのdeterminantがDNA上にどのように規定され,またDNAとどのように相互作用するかについて解明しようという分子遺伝学的立場からのdeterminant研究が進んでいる。一方で細胞生物学的には,特定の組織に対するdeterminantがどのようにして受精卵より特定の細胞群へ与えられるのかという問題が,組織の分化を決定論的に考える時,特に重要となってくる。この点を明らかにするには組織の分化とcell lineage(細胞系統)の関係を調べる事が必要である。cell lineageの解析とは,特定の細胞に起原を持つ子孫細胞群の「家系図」を空間的時間的範囲で調べる事である。cell lineageを調べるためには調べるべき細胞をマークする必要があるが,ペルオキシダーゼはこの点でマーカーとして優れた特徴を持っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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