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特集 腸管の吸収機構
文献概要
膜輸送担体の単離・同定のためには,分子遺伝学的解析は別にして,2つのアプローチがある。第1はいわゆる再構成法である。第2は膜に種々の処理を施して,輸送機能と膜成分の変化を対応させていくやり方である。後者の中で有力なのが,輸送担体に特異的に結合すると考えられる試薬を用いて,それの結合を指標にして精製を行う方法である。この例として,拮抗的阻害剤サイトカラシンBの結合活性を利用したヒト赤血球膜D-グルコース輸送担体の単離1)がある。しかし,第2のアプローチの場合でも,最終的には再構成法による膜輸送機能の検定が必要になる2)。再構成法については本特集で亀山・星3)が解説しているので,ここでは第2の方法による小腸微絨毛膜のNa+・糖(D-グルコース)共輸送系の研究について述べる。それぞれの実験条件の下での実験結果は確かであるとしても,それの解釈や結論のうち,留保なしに受け入れることのできるものは少ないというのが現状であろう。そこで,先ずそれぞれの研究者の主張に沿った論述を行い,その後で問題点を指摘するという形で稿を進めたい。
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