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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻1号

1983年02月発行

解説

下垂体mammotrophの形態学的変化とホルモン分泌との関連

著者: 椎野昌隆1

所属機関: 1和歌山県立医科大学第一解剖学教室

ページ範囲:P.54 - P.63

文献概要

 実験動物として最も多く使用されているのがラットであるが,この動物の下垂体前葉細胞を電子顕微鏡で観察すると,それぞれ分泌顆粒の形や大きさが異なる細胞群に分けられる。現在この違いを利用して前葉の細胞分類を行っているが,殊に典型的な乳腺刺激ホルモン分泌細胞(mammotroph,prolaction producing cell,lactotroph又はleuteotrophなどと呼ばれる)は不規則な大型の分泌顆粒を有する点で他の細胞型とは容易に区別される。しかもこの細胞は動物の生理的条件,下垂体の置かれている環境,プロラクチン分泌を促進する又は阻止する物質の投与によってその微細構造も種々の反応を示す。そのためmammotrophはホルモン分泌の形態学的分析に好んで使用されている。その1つの大きな特徴として,下垂体を原位置(in situ)から腎皮膜下など視床下部から離れた場所に移植すると,他の細胞と違いその形態をよく維持することである。従ってmammotrophはin vitroの実験材料として最も好ましい細胞である。最近ではプロラクチンを分泌しつづけているclonal strain(tumor cells)が作られ,細胞培養によるmammotrophの研究が盛んに行われている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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