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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻2号

1983年04月発行

文献概要

実験講座

生物試料のX線マイクロアナリシス—未固定新鮮試料による

著者: 高屋憲一1

所属機関: 1富山医科薬科大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.137 - P.142

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 X線マイクロアナリシスは,電子顕微鏡で像を観察し,電子ビームを試料の微小領域(最小で直径10nm)に当て,発生するX線を検出し,分光器によりスペクトルに分けて元素の分析を行う。試料の破壊無しに行うことが出来る。この方法はCastaing(1951)により考案され1),金属や材料の分野で広く用いられ,定性および定量的分析が高精度で行われている。生物試料は標本作製に多くの困難があるが,定性から定量的分析へとその応用が広げられている。従来の超薄切片を用いたX線マイクロアナリシスでは,主に高密度の微細構造,特に顆粒のCu,Zn,FeやCaを検出するのに有用であることが示され,さらにこれらの元素の定量的分析も行われている2)。しかし細胞内外に高濃度に存在するNa,K,Mg,Cl等の電解質元素の細胞内での分布の研究には,未固定の新鮮な試料を用いる必要がある。液滴3)や単離細胞4〜6)が定性および定量的分析に用いられて来た。しかし細胞内の微細構造レベルの定量的分析には切片で行う必要があり,新鮮未固定組織片の凍結乾燥切片や含水凍結切片を用いたX線マイクロアナリシスにより,いろいろな生理的および病的状態での電解質および金属元素の濃度の変化が研究されている7,8)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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