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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻3号

1983年06月発行

文献概要

解説

イヌ腎由来MDCK細胞—培養下における単層上皮の形成を中心として

著者: 佐藤温重1 小沢和子1

所属機関: 1東京医科歯科大学歯学部第二歯科理工学教室

ページ範囲:P.218 - P.225

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 培養下で上皮に分化する能力を保有している培養細胞が,膜機能研究のモデルとして最近注目されている。このような性質をもつ細胞として,イヌ腎由来のMD-CK1),ブタ腎由来のLLC-PK12),ガマ膀胱由来TB-M,TB-6C3),Sprague-Dawleyラット乳癌由来のRama254)などがある。これらの培養細胞がin vitroで形成する単層上皮は,従来膜研究のモデルとして用いられている膀胱膜,蛙皮,尿細管などが数種類の細胞から構成される上皮であるのに対して,1種類の単層細胞から構成される点に特徴がある。いずれの細胞系(cell line)も高い増殖性を有しており,生化学分析に十分な量を得ることが容易で,電気生理学的研究のみならず生化学的研究も可能である。さらに遺伝的に均一な種々のクローンを用いることにより膜機能の遺伝制御といった新しい研究領域への応用もできる。「ホルモン制御輸送研究における培養細胞の応用」5)と題したシンポジウムが開催されたことが示すごとく,培養下で再形成された上皮の研究は急速に発展しつつある。ここではMDCK細胞につき解説し,その単層上皮を応用した諸研究の現状について紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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