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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻4号

1983年08月発行

文献概要

特集 コンピュータによる生物現象の再構成

コンピュータ・グラフィックスによる形態形成の研究

著者: 藤田晢也1

所属機関: 1京都府立医科大学病理学教室

ページ範囲:P.274 - P.283

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 生物学や医学のように生きものを対象とする科学の領域で,最もドラマチックなものの1つは形態形成であろう。受精卵から次第に胚盤ができ,神経管が造られ,原始血管が搏動しながら屈曲して心臓を形成し,手や足や頭や顔面にみられる複雑な構造が,体の内部の諸器官の形成と並列に進行する過程でしだいしだいに構築されてくる。これが一体どのようなメカニズムの連鎖によって実現されているのか,真剣に考え始めると,この問題の深さと広さに対して畏怖に似た感慨につつまれない人はないだろう。しかも,この過程はまるで物理現象のような正確さで繰り返し繰り返し再現されるのである。
 既に1672年,当時ボローニャにいたMarcello Marpighiが鶏胚の形態発生を研究し,"De formatione pulli inovo"と題する原著としてロンドンの王立協会に発表したのが近代におけるこのジャンルの研究の嚆矢であると思われる1)。ただ,この論文は嚆矢ではあったが既に1つの完成した風格を備えていた。その中で彼は,発生しつつある個体や諸器官の形態変化を客観的に記載することの意義を達者なスケッチを混えて呈示し,同時に胚発生がpreformativeなプロセスによって展開するという考えを述べた。彼のこの論文の影響は大きかったように思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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