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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻4号

1983年08月発行

文献概要

解説

哺乳動物骨格筋におけるNa-Kの能動輸送

著者: 赤池紀扶1

所属機関: 1九州大学医学部第一生理学教室

ページ範囲:P.302 - P.312

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 ラットにK欠乏食を数週間摂取させると,血漿K濃度は正常時の4.6mMより約1/3へと減少し,骨格筋にも細胞内K濃度(〔K〕i)の減少とNa濃度(〔Na〕i)の増加がみられる1〜3)。この低K血症ラットにKを含む正常食やKClの注射を行うと,骨格筋は濃度勾配に逆らい細胞内に蓄積されていたNaを排出し,Kを再吸収して,数日後には正常ラット骨格筋内と同じイオン濃度を示すようになる4,5)。以上の実験結果は,①低K血症下でも,骨格筋のNa-K能動輸送にたずさわるNaポンプはその機能を正常に維持しつづけていること,②低K血症ラットの"Na蓄積"骨格筋がNaポンプの研究に適した材料であることを示す。③さらに,低K血症ラットの筋肉がヒトの周期性四肢麻痺によく似ていることから実験的病態モデルとして有用である。これらの理由から,我々は低K血症ラットの下肢骨格筋で姿勢制御を司る遅筋のヒラメ筋(M. Soleus,SOLと略)を選び,筋肉におけるNaポンプの働きをガラス微小電極法による静止膜電位の記録と,炎光分析法を用いた細胞内NaとKの測定により研究を行ってきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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