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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻5号

1983年10月発行

特集 受容・応答の膜分子論

刺激受容に対する膜リン脂質の代謝応答

著者: 野沢義則1 吉岡亨2

所属機関: 1岐阜大学医学部生化学教室 2横浜市立大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.353 - P.360

文献概要

 諸種の細胞が外界の刺激受容に応じて活発な膜リン脂質代謝の亢進を誘起することはよく知られており1〜4),刺激—応答連関(stimulus-response coupling)の概念はほぼ定着したと云っても過言ではなかろう。この説のルーツを辿れば,30年前にHokin & Hokin(1953)5)が膵臓細胞のアセチルコリン刺激によるアミラーゼ分泌に伴ってホスファチジルイノシトール(PI)の〔32P〕取り込み亢進を見出したことがその端緒となった。しかも,この〔32P〕PI増加がPAを介するPIの再合成であることを指摘し,いわゆる"PIサイクル"の誕生に至ったのである。その後20年を経て,Michell(1975)1)によってこのPIサイクルがCa2+流入に連係しているというCa2+ゲート作動説が唱えられ,従来英国を中心に地味に続けられてきたPIの研究が一躍多大の注目を集めるようになり,今日では細胞生物学における重要な中心課題の1つにもなっている。ここでは限られた紙数のために,受容刺激に伴う膜リン脂質代謝の変動を視細胞と血小板の例について簡単に述べることにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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