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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻5号

1983年10月発行

文献概要

解説

随意的眼球運動における黒質の役割

著者: 彦坂興秀1

所属機関: 1東邦大学医学部第1生理学教室

ページ範囲:P.381 - P.390

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 大脳基底核は,運動の発現あるいは調節に重要な働きをしているといわれる3)。Parkinson病,Huntington病など,大脳基底核の機能障害に基づく神経疾患の主要な症状はakinesia,不随意運動などの運動障害である4)。無麻酔動物の単一ニューロン活動を記録する最近の研究もこの考えを支持している(文献3)参照)。サルやネコの被殻や淡蒼球のニューロンの多くが,上肢や口の運動に先行して発射活動を変化する。しかし,小脳と並んで錐体外路を構成するといわれたこの大脳基底核が,どのような機構でどのような状況で運動に関与するのか,という問いに対する十分な答はこれらの研究からは得られていないようである。大脳基底核は大脳新皮質から主な入力を受け,主な出力を運動野を含めた大脳新皮質に視床を介して送りかえす(図1参照)。では,例えば,被殻や淡蒼球で見られる運動に先行するニューロン活動は,大脳皮質運動野の運動性のニューロン活動の原因なのだろうか,結果なのだろうか。
 ところが,この大脳皮質を起点と終点とする大脳基底核のニューロン回路以外に,大脳皮質を介さないで運動として出力され得るようなニューロン結合の存在が最近明らかになった。そのひとつが黒質網様部から上丘への結合である7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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