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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻5号

1983年10月発行

文献概要

解説

メタロチオネインの生理的意義

著者: 木村正己1

所属機関: 1労働省産業医学総合研究所実験中毒部

ページ範囲:P.391 - P.400

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 メタロチオネイン(記述中MTと略号を使用している場合もある)は分子量約6,000の低分子量蛋白質で,組成アミノ酸としてシステインを多く含有し,金属を強く結合する特性をもっている。主として,有核生物に見出されるが,小さい分子量のメタロチオネインが原核生物に存在することも確認されている。
 メタロチオネインが発見された当時は,カドミウム(Cd)結合蛋白質と考えられたが,現在では亜鉛(Zn),Cd,銅(Cu),水銀(Hg)および銀(Ag)〔右へ親和力の強い順序〕などの金属を結合することが知られている。動物をある金属に暴露させると,暴露金属のほかにZnも同時に結合したメタロチオネインが得られる。この事から,かつてはZnだけがメタロチオネインを誘導し,暴露金属が合成されたZn-チオネイン(アポメタロチオネイン)のZnを追い出して,一部結合するのかもしれないという考えもあった。しかし,現在ではこれら各金属自身にメタロチオネインを誘導する作用があると考えられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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