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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻6号

1983年12月発行

特集 蛋白質の代謝回転

ライソソームと細胞内蛋白質分解

著者: 古野浩二1 加藤敬太郎1

所属機関: 1九州大学薬学部

ページ範囲:P.431 - P.440

文献概要

 ライソソームには,細胞内蛋白質をアミノ酸にまで分解するカテプシンと総称される一群の酸性プロテアーゼが含まれており,ライソソームは細胞内蛋白質の主要な分解の場と考えられている。ライソソームが細胞内蛋白質を分解する機作としてはautophagyが知られている1)が,autophagyでは,細胞内小器官を含む一部の細胞成分が膜によって隔離され,形成された自己貪食胞(autophagosome)にライソソームから分解酵素が供給されて分解が行われる。Autophagyに関する報告2〜6)は1960年以降になって数多く見られ,多くの細胞に普遍的に存在する現象であることが明らかになったが7〜10),その報告のいずれもが単に現象の記述に留まり,autophagyの制御機構,あるいはその生理的意義については長らく不明であった。最近,細胞内蛋白質分解に関する生化学的研究が活発になり,autophagyの誘起に関する知見が集積されるようになったが,その結果,アミノ酸の欠乏やグルカゴンによって誘起される細胞内蛋白質分解の亢進はautophagyによることが明らかになってきた。本稿では,このautophagyを介した細胞内蛋白質分解機構について最近の研究状況を述べ,概説を試みる。なおautophagyに関しては,主として形態学的な観点から書かれた総説11)があるので参考にされたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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