文献詳細
特集 蛋白質の代謝回転
文献概要
骨格筋蛋白質の代謝の研究は,1960年代のおわり頃より現在に至るまで隆盛をきわめているが,他の臓器での研究に比して遅れをとっているのが現状である。その理由としてまず第1にあげられるのが測定法の困難さである。骨格筋の中ではその50%が筋原線維を構成する構造蛋白質であるが,細胞骨格構造に組み込まれているため種々の方法で測定した代謝回転速度が真の蛋白質の代謝を反映しているのか,細胞内プールと構造との平衡速度を測定しているのかが明らかでない点が問題である。第2は一般的に骨格筋構成蛋白質は代謝速度が遅いため,アミノ酸の再利用が起こり,正確な速度論が使えないことで,これはin vivoの還流実験,in vitroの単離筋インキュベート実験,培養すべてについていえることである。第3は骨格筋細胞自体が線維状になっているため,細胞内小器官の分離がむずかしく,また電顕でのライソゾームの同定すら困難であるのが現状である。このため,骨格筋蛋白質が一度構造からほぐれてライソゾームにとり込まれるのか,ある程度の大きさの筋原線維断片がそのままライソゾームにはいるのかわかっていない1,2)。
しかしながら欠点ばかりでなく,長所も多い。その最たるものは,構造蛋白質の数が限られており,個々の性質がよく知られているため精製が容易であることで,比較的簡単に,しかも正確に比放射活性が測定できる点である。
しかしながら欠点ばかりでなく,長所も多い。その最たるものは,構造蛋白質の数が限られており,個々の性質がよく知られているため精製が容易であることで,比較的簡単に,しかも正確に比放射活性が測定できる点である。
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