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文献詳細

雑誌文献

生体の科学34巻6号

1983年12月発行

解説

神経再生の生化学

著者: 高坂新一1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.466 - P.473

文献概要

 神経系の再生機序を明らかにしてゆくことは,脊髄損傷,神経疾患等に苦しむ数多くの患者を背景に,世界的に重要な研究課題となっている。これらの研究には,sciatic nerve1〜3),dorsal root ganglion4,5),superior cervical ganglion6),hypoglossal nerve7〜9),spinal cord10,11)等さまざまな材料が用いられているが,ほとんどのものが形態学的アプローチにとどまっている12,13)。このことは,神経の再生機序を生化学的に追求することが,いかに困難であったかを如実に物語るものである。著者らは,神経系特に中枢神経系の再生をささえている物質的背景を明らかにすべく,金魚の視覚系を用いて生化学的な研究を進めてきた。即ち金魚の視神経を外科的に切断し,その後網膜内(視神経の細胞体であるganglion cell)での生化学的変化を検討してゆこうとするものである。金魚の網膜を実験材料とすることは以下の如き利点がある。
 ①哺乳類の中枢神経系は非常に再生しにくいが,金魚の視神経は中枢神経系にもかかわらず再生能力が良く保たれている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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