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実験講座
神経系のモノクローナル抗体
著者: 藤田忍1
所属機関: 1群馬大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.474 - P.478
文献購入ページに移動 生物学医学研究の手段としてのモノクローナル抗体(以下MAbと省略)の有効な利用は,この新技術の2つの特徴に基づくものである。
その第1はいうまでもなく,MAbは抗原決定基特異性が単一であることによる。たとえばアセチルコリンリセプターに特異的なMAbを多数とると,そのあるものはα-バンガロトキシンと競合し,他のものはしない1)。あるいはあるウイルスに対するMAbを調べてゆくと,それ自体に中和活性がないのに中和抗血清の結合を妨げるものが見つかるので,そのような部位(抗原決定基)がウイルス表面に存在することがわかる2)。このように生体高分子の構造をMAbで触ってその機能を調べてゆくというアプローチが可能になった。このことだけでも従来の抗血清では考えられない進歩であるが,さらに重要なのは次の第2の特徴である。
その第1はいうまでもなく,MAbは抗原決定基特異性が単一であることによる。たとえばアセチルコリンリセプターに特異的なMAbを多数とると,そのあるものはα-バンガロトキシンと競合し,他のものはしない1)。あるいはあるウイルスに対するMAbを調べてゆくと,それ自体に中和活性がないのに中和抗血清の結合を妨げるものが見つかるので,そのような部位(抗原決定基)がウイルス表面に存在することがわかる2)。このように生体高分子の構造をMAbで触ってその機能を調べてゆくというアプローチが可能になった。このことだけでも従来の抗血清では考えられない進歩であるが,さらに重要なのは次の第2の特徴である。
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