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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻1号

1984年02月発行

文献概要

解説

生体高分子の分子構造(1)

著者: 長野晃三1

所属機関: 1東京大学薬学部薬品物理分析学

ページ範囲:P.47 - P.58

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 人間の体を構成している物質は約2/3が水で,あとは皮膚,筋肉,内臓,神経,骨格などを作る蛋白質や脂質,遺伝や蛋白質合成に深く関与している核酸,免疫に関係があるとされている糖質,その他に低分子量の有機物質や無機物質がある。これらの物質が時々刻々分解されて排泄されて行く一方で,食物として補給されて動的な平衡状態が保たれていること,さらにそのような系が複製されて増える機構を備えているとき生命と呼ばれる。このような物質の流れも大切であるが,ある時間の一断面で生命がどのような部品から構成されているかを調べることも重要である。しかしながら,それらの物質をビーカーの中で混ぜ合わせるだけでは生命は生じない。個々の物質は関連する物質と特異的な結合をして有機的な構造を作っている。生命に関する構造の研究は,医学史によれば解剖学の発達に伴う器官とか組織の構造から始まり,顕微鏡の発明による細胞構造の知識の蓄積,さらに電子顕微鏡の進歩発達によりそれらの知識は次第に微細構造に及んで,今日では蛋白質や核酸分子を直接眺めることも出来るようになった。
 一方で化学の発達は物質を純粋に分離し,同定し,それらの物質同志を関連づけるのに分子構造という概念をもつに至った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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