icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻2号

1984年04月発行

文献概要

特集 哺乳類の初期発生

マウス初期胚の培養と顕微操作

著者: 勝木元也1

所属機関: 1慶応大学医学部分子生物学教室

ページ範囲:P.90 - P.95

文献購入ページに移動
 哺乳動物の初期胚を操作し,その胚を偽妊娠の里親に移植し,仔動物を得る技術が最近著しく進歩した1〜4)。この技術の進歩に伴って,いままで困難であった哺乳動物の実験発生学が可能となった。また医学や畜産学などに応用されるとともに,新たな技術の開発が行われている。この初期胚操作を可能にする要素は,大きくわけて二つある。
 第1は,初期胚を体外で培養し,胚盤胞を再び偽妊娠の里親に移植する技術である5〜7)。これによって,本来受精から誕生まで体外に出ることのない哺乳動物の発生過程を,われわれの眼前で見ることが可能となった。すなわち,操作が可能となったのである。第2は,光学系の進歩である。初期胚の大きさは直径が約100μm程度であり,核の直径はさらに小さく5〜20μmであることから,操作のためには顕微鏡の進歩が不可欠である。単に卵の構造を見ることが出来るばかりでなく,培養を続けながら操作することができなければならないから,現在ではノマルスキー干渉装置が用いられるようになった。また微小ガラスピペット作製器およびピペットを円滑に微動させる装置(マニピュレーター)の開発も,卵の大きさからくる実験の制約を克服するのに必要なことであった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?