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特集 哺乳類の初期発生
マウスのT/t複合遺伝子座の分子生物学
著者: 藤本弘一1
所属機関: 1三菱化成生命科学研究所細胞生物学研究室
ページ範囲:P.116 - P.122
文献購入ページに移動 多細胞動物の発生現象における本質的に重要な問題の一つは,遺伝情報の差次的発現と,その細胞間相互作用による調節であろう。より後期の細胞間の質的な差(cell-type specificity)は,より早い発生段階の細胞における遺伝子活性レベルのスイッチの変換により導かれ,これは時間軸に沿った細胞の質的変化(stage specificity)を伴う。この細胞分化は,個々の細胞単独におこっているのではなく,細胞間同志の近密なコミュニケーションによって進行する。初期発生において,これらの現象が遺伝子とその産物によってどのように制御されているのかは,ほとんど明らかにされていない。
このテーマを解析する系として,マウスのT/t複合遺伝子座(complex)が注目され始めたのは1970年頃であった。以後,10年余りにわたり,遺伝学的,形態学的,血清学的,生化学的に,多面的な研究が続けられている。特に遺伝子の産物を同定する試みは,この遺伝子座を分子生物学的に解析する上で,最も重要な点の一つである。この点について,これまでの紆余曲折を考察してみたい。なおT/t complex一般については詳しい邦文総説があるので参照していただきたい1,2)。
このテーマを解析する系として,マウスのT/t複合遺伝子座(complex)が注目され始めたのは1970年頃であった。以後,10年余りにわたり,遺伝学的,形態学的,血清学的,生化学的に,多面的な研究が続けられている。特に遺伝子の産物を同定する試みは,この遺伝子座を分子生物学的に解析する上で,最も重要な点の一つである。この点について,これまでの紆余曲折を考察してみたい。なおT/t complex一般については詳しい邦文総説があるので参照していただきたい1,2)。
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