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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻2号

1984年04月発行

文献概要

解説

生体高分子の分子構造(2)

著者: 長野晃三1

所属機関: 1東京大学薬学部薬品物理分析学

ページ範囲:P.140 - P.148

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 Ⅳ.核酸の分子構造と生命の進化
 核酸は五炭糖の一種であるリボースと燐酸が重合して主鎖を形成しており,親水性で酸性が強い。即ち電気的に陰性で相互に反発するので主鎖同志が直接結合することはない。図14はその主鎖を示しているが,リボースの2′位のOH基がある場合にはリボ核酸(RNA),2′位がH原子のみの場合にはデオキシリボ核酸(DNA)と呼ばれている。1′位に結合したBaseと書いてある側鎖に相当する部分は塩基性芳香環で,DNAの場合にはアデニンA,グアニンG,シトシンC,チミンTの4種類だけになり,RNAの場合にはチミンのメチル基が失われたユリジンUが現われる。アミノ酸転位RNA(tRNA)や蛋白質合成糸であるリボソームのRNA(rRNAと略記することもある)ではチミンの他にも多種類の修飾塩基が現われることがあり,リボース環までがメチル化されることがある。そのような修飾の意義は明らかではないが,何らかの構造上の制約が必要なのであろう。DNAの4種類の塩基については図15(a),(b)に示されるWatson-Crick型の塩基対形成が可能であることが良く知られている26)。(a)のGC塩基対と(b)のAT塩基対では水素結合の数が異なるので,GC塩基対の方がAT塩基対よりも安定化に寄与するところが大きいと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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