icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻3号

1984年06月発行

特集 神経科学の仮説

記憶の物質説とシナプス説

著者: 塚原仲晃1

所属機関: 1大阪大学基礎工学部生物工学科

ページ範囲:P.189 - P.194

文献概要

 生物科学において,われわれの仮説に対する評価は必ずしも一致しているとはいい難い。ある人は,ある仮説に対してこれは単なる"仮説"にすぎないと軽く扱った表現をとり,別の人は仮説が提出されていない問題に対して「まだ仮説も提出されていないような未発達の領域」と表現し,仮説の出現はある学問領域の成長の一つのバロメーターとみる。前者は事実の記述に終始した古典的生物学で一時的にみられる仮説に対する消極的位置づけであり,後者は研究に対する仮説の役割をより積極的に評価したものである。しかし,どちらの立場でも,まだ全き真実に到達していない途中の段階という認識では意見が一致している。
 村上陽一郎氏によると,仮説(仮設)とは「経験によって実際に確かめられていないが,それを仮に設けてみると,現象が整合的に説明できる場合,設けられたものを仮説という」と定義される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら