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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻3号

1984年06月発行

文献概要

特集 神経科学の仮説

脳内空間地図の仮説

著者: 笠井健1

所属機関: 1大阪大学健康体育部体育科学系

ページ範囲:P.206 - P.214

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 射撃の名手は身体の各部が揺れ動く中でピストルだけは空間的にぴたりと静止させることができるといわれる1)。また体操の選手はムーンサルト(2回宙返り,1回ひねり)で着地するまでの間,常に大地がどこにあるかわかっているそうである。鉄棒の選手が手をはなし,空中で回転をしてから再び鉄棒をつかむシーンもよく見かける。人間はこのように運動しながら周囲の世界を正しく認識する能力と,周囲の空間に対して正確でかつ微妙な運動制御を行う能力をもっている。
 運動をしているとき,頭は平行移動と回転をあわせて6つの自由度で動く。TVカメラを6自由度でふりまわしたとき,モニターの画像がどれだけ乱れるかを考えると,激しく動く頭にとりつけた眼を使って周りの空間を1つの連続した世界としてとらえる能力は驚くばかりである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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