icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻3号

1984年06月発行

文献概要

解説

DNA組換え技術の生体膜研究への応用

著者: 金沢浩1 二井将光1

所属機関: 1岡山大学薬学部微生物薬品化学

ページ範囲:P.221 - P.231

文献購入ページに移動
 能動輸送,エネルギー転換,情報の受容と応答といった生命現象の最も基本的な機構は生体膜にある。こうした機構を解明しようとする努力は,対象とする現象においてもまた研究素材や方法論の上でも多岐にわたっている。このうち生化学的研究の一つの中心課題は,各現象を支える生体膜蛋白質の分離・同定とその特徴を記述することである。Nelson & Robinsonによってまとめられた1982年までに精製された膜蛋白質の一覧表1)によれば,機能を異にする精製膜蛋白質の総数は170である。この数には,機能が同じである場合,対象とした生物種や器官の違いは考慮がなされていないので,実際の精製報告例はこれより若干多いであろう。しかし,この数を可溶性蛋白質の精製例と比較したとき,おそらく桁違いに少ないであろう。また可溶性蛋白質の精製の歴史が60年に及ぶのに対し,膜蛋白質のそれは1970年代からスタートしたにすぎない。したがって,膜蛋白質の精製とその構造と機能の解析は,今後とも生化学的研究の中心的課題の一つとして推移し発展するであろう。しかし,膜蛋白質の精製が技術的に難しいことはすでに良く知られた事実である。そのために界面活性剤の適用について各蛋白質の個別的な経験から一般原則を導こうとすることや,有用な新しい界面活性剤を見出そうとすることなどに努力が重ねられている2,3)
 前述の精製膜蛋白質のうち一次構造が決定されているものは59例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら