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文献詳細

雑誌文献

生体の科学35巻4号

1984年08月発行

文献概要

特集 ゲノムの構造

リボゾーム遺伝子の構造

著者: 木南凌1 村松正実1

所属機関: 1東京大学医学部第1生化学

ページ範囲:P.264 - P.268

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 細胞内の小器官であるリボゾームは,種々の蛋白質とRNAにより構成されている。核中のDNAにコードされている遺伝子の情報はmRNAとして転写されるが,リボゾームではそれがさらに蛋白質へと翻訳される。リボゾームは大小のサブユニットから成り,大サブユニットには28S,5.8Sおよび5S RNAと50余の蛋白質が含まれ,小サブユニットには18SRNAと30余の蛋白質が含まれている。これらの構成成分を担う遺伝子は沢山のそれらから成る。1群はリボゾームRNAの遺伝子,2群はリボゾーム蛋白質をコードする遺伝子群,3群は5SRNA遺伝子である。単にリボゾーム遺伝子(rDNA)と書くと,リボゾームRNA遺伝子を指すが,それは上記の遺伝子の中でとりわけリボゾームRNA遺伝子が古くから分子生物学的手法により研究され,また実りある結果が得られていたからである。この遺伝子は,人間では半数体当たり約200コピー存在し,5本の染色体に存在している1)。この遺伝子が転写されている時は核小体として顕微鏡下で観察され,RNAポリメラーゼⅠが関与している2)。一方,リボゾーム蛋白質,5S RNA遺伝子は核小体外核に存在し,関与するポリメラーゼもそれぞれⅡ,Ⅲである。このようにリボゾームを形成するには,沢山の複雑な遺伝子の協調された発現が必要と考えられるが,この調節機構の研究が今後の重要な課題として残っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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