文献詳細
特集 ゲノムの構造
文献概要
ミトコンドリアは真核生物の細胞質に存在する細胞小器官で,クエン酸回路,電子伝達系,酸化的リン酸化や脂肪酸のβ-酸化などを行い,細胞内におけるエネルギー代謝の中心的存在である。また,ミトコンドリアは核DNAとは異なる独自のDNAをもち,半独立の増殖系となっている。通常,ミトコンドリアDNA(mtDNA)は2本鎖の環状分子で,そのサイズは高等動物では約16kb(キロ塩基対)であるが,酵母(Saccharomyces cerevisiae)で76kb,アカパンカビ(Neurospora crassa)では61kbと大きく,また植物では種による違いが著しくて,エンドウマメの96kbや,大きいものではマスクメロンの2,400kbなどがある1)。
mtDNAのサイズは生物によって様々であるが,そこにコードされている遺伝子は共通のものが多い。哺乳動物の場合,大小1組のrRNA遺伝子と22種のtRNA遺伝子,チトクロームc酸化酵素のサブユニットⅠ,Ⅱ,Ⅲやアポチトクロームb,ATPaseのサブユニット6などの遺伝子が存在しているが,それらはこれまで調べられたどの生物のmtDNAにも存在しているようである。それに対し,酵母ではATPaseのサブユニット9が,またトウモロコシではATPaseのサブユニットαがmtDNAにコードされており2),それぞれを特徴づけている。
mtDNAのサイズは生物によって様々であるが,そこにコードされている遺伝子は共通のものが多い。哺乳動物の場合,大小1組のrRNA遺伝子と22種のtRNA遺伝子,チトクロームc酸化酵素のサブユニットⅠ,Ⅱ,Ⅲやアポチトクロームb,ATPaseのサブユニット6などの遺伝子が存在しているが,それらはこれまで調べられたどの生物のmtDNAにも存在しているようである。それに対し,酵母ではATPaseのサブユニット9が,またトウモロコシではATPaseのサブユニットαがmtDNAにコードされており2),それぞれを特徴づけている。
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